マイホームとシックハウス症候群
これから家を新築、または購入しようと検討している人で、シックハウス症候群という言葉を聞いたことのない人はまずいないのではないでしょうか。シックハウス症候群とは、建築用材や接着剤などに含まれる化学物質によって引き起こされる身体的な症状をいいます。
私達の日常では食品、殺虫剤、農薬などさまざまな化学物質に囲まれています。これらの空気中に浮遊している化学物質を長期間に渡って摂取しつづけることで、吐き気や頭痛、めまいなどのアレルギー反応がおこり体に変調をきたすようになります。しかし同じ環境下にいる人全てに同じ症状が出るわけではなく、症状、程度には個人差があります。そのため今まで原因不明の病とされることも多くありました。近年ではこれらの症状が化学物質過敏症であるとして広く研究が進められるようになり、理解も深まってきました。シックハウス症候群は家に使われる建材などに含まれる化学物質が原因となりますので、子供や高齢者など比較的抵抗力が弱く長時間家にいる人に多く出る傾向があります。
■ 有害な物質
古来日本の木造住宅は全て自然素材で作られていました。新築の家に入ると木の匂い、イグサの匂いが香ってきたものでした。しかし現在の住宅ではそのような香りが鼻を掠めることは少ないでしょう。
空気汚染を起こし人体に影響を与えるシックハウス症候群の原因となるのは、ほとんどが有機系の化学物質です。たとえば、シロアリ駆除用に床下に散布される殺虫剤(有機塩素剤クロルデン、有機リン剤スミチオン)は非常に強い毒性を持つものです。
元来日本の住宅の床下はとても風通しのよい造りでした。土台を高くし、シロアリの嫌う乾燥状態を作ることでその被害から住宅を守ってきたのです。現在ではそれよりも殺虫剤を使うほうが手軽で、建築コストを抑えることができるということで薬剤を多用することが多いのです。
ほとんどの住まいで使われる合板は建築コストを抑えることができます。しかしその合板の接着にはホルムアルデヒドが使われていますし、塗料や溶剤にはトルエン、キシレンなどが含まれます。これらは揮発性の物質ですので、新築後も一定期間室内に放出されるのです。他にも壁紙クロスを貼るための糊にはホルマリンが、カーペットやカーテンの防虫加工や防炎加工も化学薬品が使用されます。
つまり、室内にはこのように沢山の化学物質が放出されているのです。近年の建物は更に気密化、断熱化に優れていますので、窓をあけずにエアコンを使用したりします。そうすると室内はいわば密室状態になり浮遊している化学物質が増えるのは当然といえます。
■ シックハウス症候群の知識を持とう
昔の人は家が完成したあとも土塗りの壁が乾くまでしばらくその家に住まなかったそうです。今なら揮発性の化学物質がある程度放出されるまで待ってから住むというのがこれに当てはまるのではないでしょうか。
勿論建築メーカーも建材の生産過程において有害な物質の使用を抑え、自然に近い無害な建材の研究開発に力を入れています。またそれらを使わない無添加建築というのも近年人気が高まっています。しかし、化学物質の使用については特に法律で規制されているわけではありません。そのため化学物質を含んだ建材は多くの市場に出回っているのは事実です。
こうした化学物質から身を守るためには、何よりも知識を身につけることです。知識を身につければ、できるかぎり自然に近い建材を選択することもできますし、適材適所な使い方をすることもできるでしょう。化学処理されたものにも勿論よい面がありますので、その問題点を把握し必要に応じて使い分けをすることが大切ではないでしょうか。
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